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SAI DIARY

母校の歯周病科村上教授の講演が、大阪市北区歯科医師会の主催でありました。

 

約20年前、学生の頃、授業を受けていましたが、難しかった記憶が・・・

開業医になってから話を聴くと、なんと分かりやすいこと!

 

リグロスとは、歯周病で失った骨とセメント質、歯根膜を再生する薬品です。

どのようなことか分かりやすく説明すると、人が擦り傷をしたら、皮膚が再生するし、

骨折したら、ぴったりと破折骨片を合わせていなくても、大体くっついて治るのは、

その周辺で、「皮膚を作ろう」とか「骨を作ろう」という指令をだすサイトカインという

たんぱく質が存在するからです。

擦り傷の時に骨は出来ないし、骨折の時、皮膚が出来ないのは、その周辺の環境に合わせて

細胞が再生するからです。

それは、とても不思議なことで、細胞は非常に賢くて、どうすべきか分かっているということなのです。

 

そのサイトカインの中で、骨を作るのが得意なものがいくつかあり、かといって骨ばかり作られても

困ります。歯の周りには、セメント質や歯根膜も必要なので、その絶妙なバランスとスピードで分化するのがFGF-2というサイトカインです。

今のところ、周りの骨の高さまで再生するのが限界なので、年を取って、全体的に水平に痩せてしまった骨レベルを上げることは出来ません。

周りは骨があるけれど、一部分だけ、歯周ポケットが深く、そこだけ骨が溶けてしまった症例が適応です。

今まで、あまり治療法のなかった分岐部病変も一部適応になるので、残せる可能性のある歯は、積極的にリグロスでフラップオペをして、1本でも多く歯を守っていきたいと思います。