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SAI DIARY

前回、前々回と続いている天野教授の歯周病のお話です。

 

患者さんが「歯茎から血が出る」と申告されることが多々ありますが、これは何が起こっているのでしょう?

 

答え「歯周ポケットの内面が潰瘍になっていて、それを刺激して出血している状態」

 

外ではないです。内面が潰瘍なんですよ!

 

みなさん、簡単に出血って思っていますが、潰瘍です。胃潰瘍と同じ潰瘍です。

 

歯周病菌の大好物はFe鉄です。Feがないと増殖できないし、病原性も高まりません。

Feといえば、赤血球ヘモグロビンが大好物ということ。血がないと仲間を増やせないですが

血があると、桁外れに増殖し、さらに出血を起こし仲間を増やします。

 

プラークは協力して病原性を高めるので、三ヶ月に一度、歯科医院でクリーニングをすることで

バイオフィルムの病原化を防ぐことが大切なのです。

 

 

では、歯周病菌はどうやって潰瘍を作っているのでしょうか?

 

まず、歯周病関連菌が病原性の高いバイオフィルムをつくります。

 

歯周組織を攻撃します。歯周組織は免疫機構を駆使して、サイトカインを放出。

 

ところが、それでも歯周病菌は死なないので、その大量のサイトカインが自分にはね返ってきて

慢性炎症が骨を破壊し始めます。

また、大量のサイトカインが全身を駆け巡るので、いろいろな臓器でトラブルを起こします。

 

大切なのは、出血を止めること

 

触らなければ、血が出ないとかではないですよ。

プスプスと探針でなぞっても、普通にハミガキでゴシゴシしても血が出ない状態です。

 

歯周病の進行は、ポケットを計る時に血が出るかでないかで分かります。

 

定期検診の目的は、原因除去です。

しっかりとポケット内部まで、クリーニングすることが大切です。

歯周病が安定してきても、1年も放置すれば、また細菌は病原性を高めることがあります。

 

受診間隔は、患者それぞれです。

 

1年に一度でも問題ない人もいれば、3ヵ月ごとのクリーニングが必要な人もいます。

細菌検査で、凶悪な遺伝子型の歯周病菌に感染している場合は、短めのリコールになりますね。

 

とある患者さんの数値の変化ですが

 

p.ジンジバーリスが40だったのに、中国へ転勤になり、2年後、11万8000にも跳ね上がって

しまいました。

 

細菌って本当に恐ろしいですね。

 

歯茎の出血を放置するとはどういうことか?

 

それは

 

傷口にウンコを毎日、押し付けている

46時中、菌血症

 

ということです。

 

ウンコって単語が、今でも、わくわくしてしまうので、診療室でも言ってしまう私とスタッフです。

許してくださいね。

 

内面に病原性の物質があるので、丁寧に歯磨きすることはむしろ害になります。

(ちゃんとした)歯科医院で、ポケット内のクリーニングを受けてくださいね。

 

次回は、口臭について。

 

口臭は臭いだけか?のお話です。