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SAI DIARY

最近、乳歯や永久歯が先天的に欠損しているケースが非常に増えているように思います。

家族で見ていると、両親のどちらかに欠損や過剰歯があると、子供に遺伝しているケースが多く、比較的遺伝しやすいのかなと思っています。

 

乳歯の時から上顎の前歯が1本生えてこなくて、先天性の欠損と思っておられて矯正相談に来られた女児が、乳歯の埋伏と過剰歯まであった症例

のお話です。

 

初診のお写真

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永久歯が2本生えてきて、捻転しているのと、写真右の2本目が無くて、乳犬歯が前に寄っています。

最初から2本目の乳歯が無くて欠損と言われたそうです。

そこで、CTを撮影させて頂きました。

 

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欠損部周辺にたくさんの歯が写っています。

まずは、永久歯を探すと、2本目も3本目もあります。

生物学的には、乳歯から永久歯が発生すると言われているので、2番の永久歯が存在する為、乳歯の2番目Bもあるはずです。

 

欠損部に2つの歯牙らしき物が見えます。

そのうちの一つは、埋伏したB、もう一つは過剰歯と推測されます。

とても変な場所に2番があるので、外側へ誘導しなくてはいけませんが埋伏歯と過剰歯が行く手を塞いでいます。

 

口腔外科に相談して抜歯してもらいました。

しっかりしていた女の子だったので外来で抜かれたのですが、帰って泣いていたとのこと。良く頑張りました。

その後、緩く矯正して今の写真です。

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レントゲンに抵抗を感じられる保護者の方が稀におられますが、一度は撮っておいた方が良いと思います。

おかしいなと思ったら、CTがあると色々なことが分かってとても便利です。

ハンドピースの滅菌

2018年1月18日

昨今、ニュースで話題になっているタービンの滅菌についてですが、

患者さんごとに、使用後、ガス滅菌かけていますので、ご安心下さい。

 

タービンにもブランドがありまして、一番高級なメーカーのを使っています。

安いのは、ブレるような気がするので、気持ちが悪いのです。

かつ、タービンのお気に入りの色があったりして、滅菌袋から出すたび、心の中で

「当たり」「はずれ」と思っていたりします。

タービンをオートクレーブにかけると、120度以上になるので、とても痛みます。

安いタービンをたくさん購入して、オートクレーブにかけまくるという方法を

とるのが一般的な対処法かも知れません。

お気に入りの道具が傷むのは、耐えられないので、開院当初から、ガス滅菌を入れています。

過剰に良い物を買い揃えるとなると、その費用は、患者さんに上乗せされるので、自費の

費用を上げることなく、安全な治療が受けられるレベルを維持したいと思います。

出来上がりのホッカホカ感とかないですが、ガス滅菌は、全ての細菌・ウイルスが

死滅します。

他にも、プラスティック類など、審美歯科特有の熱に弱い道具なども、全部、ガス滅菌です。

 

 

 

阪大時代に矯正科の授業でお世話になっていた保田先生に、今でも技工物を出したり

設計のアドバイスを頂いています。

 

小児矯正で、上顎の口蓋縫合に力をかけて広げて、根本的な骨格矯正をする装置も

いつも保田先生の技工所にお願いしています。

子供の拡大は、簡単なのですが、大人になると普通は出来ません。

今回、29歳の男性で、抜歯は決定ですが、それでも骨量が不足しているケースを相談したところ

ドイツ製のめちゃくちゃ太いチタンのスクリュー4本打てば、口蓋縫合を引き剥がして

仮骨延長出来るとの事で、スクリュー持参で、埋入しに来てくださいました。

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私は、インプラントを先に学んだので、同じ感覚で、機械で骨に穴を開けてから、スクリューを

入れています。保田先生は、矯正の専門なので、機械で骨に穴を開けたことがないそうで、

手の力でキリキリとネジを入れておられました。

ゆっくり入れられるから、患者さんはその方が楽かもしれませんね。

しかし、びっくりするほど太くて笑ってしまいました。これ以外の使い道があるとは

思えないサイズです。

「1ヶ月したらスクリュー外してね~」って笑顔で、帰っていかれたけど、専用ドライバーなしで

プライヤーと己の手の力でとは。

 

 

リンガル矯正に欠かせないマイクロスクリュー(矯正用インプラント)のお話です。

「他院で、矯正相談に行った所、外科手術を勧められた。第一大臼歯が保存不可なので、親知らずを移植したら良い」と言われて、相談に来られました。
今まで出会った女性で、一二を争う出っ歯でした。そして、口元以外はとても綺麗な女性で、絶対に治してあげたいと思ったのです。
上下左右4本の6歳臼歯(第一大臼歯)が全て神経がなく、そのうち3本はホープレスでした。
その3箇所には、幸いにも親知らずが手付かずで残っていました。
一番マシな6歳臼歯の部位の親知らずは、神経が無く歯の形も原型を留めていません。

矯正の際に抜歯する歯は、ほとんどが小臼歯です。
大臼歯を3本も抜くなんて、あり得ないので、残したまま、小臼歯を抜いて、大臼歯がダメになったら、親知らずを移植すれば良いと、前の先生は考えたのでしょう。

その先生は、矯正専門で、自分では歯も抜かないし虫歯も治さないという先生で、外科の先生に、骨切って、親知らずを移植してという紹介をしておられました。

抜歯も、移植も、インプラントも自分でしている私は、移植の成功率と平均残存年数分かっているのか?!と少し頭に血が上りかけました。若い頃なら仁王立ちかも知れません(^_^)

歯の神経がある事は、最終的にとってもとってもプラスです。
だから、親知らずを一度抜いて、違う所に植えた時点で、神経は切れて、神経がない歯になるので、無傷の親知らずを骨から離すのは、良く良く考えて選択すべきだし、わざわざそんな事しなくても、インプラントがあるわけですから、小臼歯抜く必要あるのか?と考えました。

まず、頭部CTを撮影して、骨格と歯性分析をしてみました。
そして、もう使えそうにない6歳臼歯を無かったことにして、第2大臼歯を第1大臼歯として分析してみることにしました。
すると、前歯はもう分析グラフに印刷できないくらい飛び出ていますが、骨格は異常がなく、かつ大臼歯の位置もこれで良いという結果でした。

このCTは、本当に役に立っています。思い込みで診断するミスも防げるし、インプラントの手術で神技を要求されることも無いですから。この患者さんも歯が出過ぎてオペケースだ!と思ってしまいそうですが、骨は意外にも出てなくて、それが私が初診で感じた「口元以外は綺麗な人」という理由なのでしょう。

この分析結果から、第一大臼歯抜歯すると決めたのですが、そうなると、アンカーがありません。そして、最終的な噛み合わせを確認するセットアップモデルによると、この第一大臼歯代わりの第2大臼歯は、前方へ動かしてはならないし、小臼歯を含む前歯部軍10本を挺出させず後ろへ移動する必要があったのです。

ここで活躍するのが、矯正用インプラントです。
上顎で埋入し易いのは、口蓋正中です。最初に入れた時は、歯がない場所に何か入れる経験が無いので、変な汗をかいたものです。そして、この治療法を思い付いた先生をスゴイなぁと心底思いました。

もっと小さな部位にももちろん便利ですが、この患者さんに限っては、矯正用インプラントが無かったら、治療が出来なかったと思うのです。

そして、1本だけ抜歯しなかった第一大臼歯の手前に、もう起こせないくらい倒れている小臼歯があったのでそれを抜歯しました。
将来、この第一大臼歯がダメになったら、インプラントをきれいに入れましょうとお話ししています。その頃には、とっくに矯正が終わっているので、その場所にインプラントを埋入しても問題ありません。

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2本目の側切歯が完全に口蓋側に転位していた症例です。

2番を抜いて犬歯を形態修正したら、矯正時間が短くなるので、その方法と王道の矯正を

提案した結果、前歯6本をきちんと配列する形で矯正になりました。

終わってみると、やはり6前歯揃っているほうが断然きれいですね。

上下小臼歯4本抜歯しています。

今から、ホームホワイトニングで色調改善を行っていきます。

 

 

母校の歯周病科村上教授の講演が、大阪市北区歯科医師会の主催でありました。

 

約20年前、学生の頃、授業を受けていましたが、難しかった記憶が・・・

開業医になってから話を聴くと、なんと分かりやすいこと!

 

リグロスとは、歯周病で失った骨とセメント質、歯根膜を再生する薬品です。

どのようなことか分かりやすく説明すると、人が擦り傷をしたら、皮膚が再生するし、

骨折したら、ぴったりと破折骨片を合わせていなくても、大体くっついて治るのは、

その周辺で、「皮膚を作ろう」とか「骨を作ろう」という指令をだすサイトカインという

たんぱく質が存在するからです。

擦り傷の時に骨は出来ないし、骨折の時、皮膚が出来ないのは、その周辺の環境に合わせて

細胞が再生するからです。

それは、とても不思議なことで、細胞は非常に賢くて、どうすべきか分かっているということなのです。

 

そのサイトカインの中で、骨を作るのが得意なものがいくつかあり、かといって骨ばかり作られても

困ります。歯の周りには、セメント質や歯根膜も必要なので、その絶妙なバランスとスピードで分化するのがFGF-2というサイトカインです。

今のところ、周りの骨の高さまで再生するのが限界なので、年を取って、全体的に水平に痩せてしまった骨レベルを上げることは出来ません。

周りは骨があるけれど、一部分だけ、歯周ポケットが深く、そこだけ骨が溶けてしまった症例が適応です。

今まで、あまり治療法のなかった分岐部病変も一部適応になるので、残せる可能性のある歯は、積極的にリグロスでフラップオペをして、1本でも多く歯を守っていきたいと思います。

 

 

nobel biocare 主催 インプラントセミナー

 先日、小濱忠一先生の講習会を受講してまいりました。

非常に、論理的に考察されていて、さすが、小濱先生と感銘を受けました。以前から尊敬している先生の1人です。

 

私が、インプラントを始めて、15年程経過しました。

インプラントに関しては、やはりやり直しが効かないものなので、長期経過がはっきりしない材料や

方法は採用しない方針でやってきました。今後もその方針は変わりません。

私のインプラントのヒストリーを大雑把にまとめます。 

最初の勤務先は、韓国社製のプラトンというインプラント。

その選択基準は、院長の性格から推測すると「安いし、基本構造は一緒」ということだったのではないかと思います。見ているだけでした。

次の勤務先は、日本製のマイティス。共同開発ということもあり、最初の埋入キットが無料で頂けたり、機械研磨の幅を個人的な希望で変更してくれたり、親切な会社でした。

それでも、インプラント開発に出遅れている日本製ということもあり、ラインナップは少なく、不安な部分はありました。その時の患者さんを今でも、診ていますが、ロストはしていないので、シッカリとした作りだったのだと思います。

12年前開業するにあたって、会社が絶対に潰れないことと、信念を持って製品を作っているかという基準で、nobel biocareノーベルバイオケアのインプラントを採用しました。

そもそも、チタンが骨にくっつき歯の代わりとなるという研究は、スウェーデンの整形外科医ブローネマルク先生という方が最初に発表し、その会社がノーベルバイオケアです。

そして、ブローネマルク先生への敬愛が半端ない小宮山先生という方が日本で、ブローネマルクオッセオインテグレーションセンターを設立されています。

かつて、小宮山先生の講習会出ましたが、それはそれは熱く、インプラントを語っておられ、非常に感銘を受けました。

「フラップレスはしない」「抜歯即時埋入および即時負荷はしない」方式でやって来て、小宮山先生も「フラップレスなんて、術者の自己満足。骨を確認しないで、患者に早くて上手いと思われたいからでしょ」と話しておられました。

 

今回、小濱先生の経過症例を拝見して、フラップレスや抜歯即時埋入の優位性も間違いなくあり、症例によって使い分けが必要だと感じました。

これは、歯科用CTの普及に伴うものだと思います。

歯肉を剥離しなくても、残存骨を確認出来るので、直接見なくても、見ているのと変わらないのです。 

そして、抜歯後は造骨細胞が非常に活性化され、その治癒に乗っかることの優位性は高いと感じました。

 

小濱先生は、ノーベルバイオケア社の製品を使ってきて、一時期、ストローマンに変更したものの、すぐにノーベルに戻しています。 

ずっとノーベルの製品を使っていると、他のドクターから「ストローマンが良い」と言われ、かといって、ノーベルで一度も困った事がありません。1番良い物を使いたい思いと、ノーベルも1番良いんじゃないかと言う思いでざわざわしていました。

 

小濱先生は、両方使い、その違いを実に詳細に述べておられました。

ストローマンが、販売で多用しているデータが、公平性に欠け、ドイツでデンツプライシロナと裁判に発展し、敗訴していることを知りました。ストローマン社が広く普及したインプラント周囲炎に関する結果については、統計学的に有意差はないと裁判所が判決を出しているのです。

 

自社に都合のいいデータだけ、販売促進のため引用する会社の姿勢は恐ろしく、全く信用出来ないと感じました。聞けば聞くほど、適当な会社なようです。

 

現時点の表面性状に対する解釈

つまりインプラントブランドに対する解釈となりますが、インプラント周囲炎と相関関係はないとなります。

最初の勤務先の院長の判断は間違ってないのですね。どこのメーカーでも骨とくっつけば、使えます。

 

ただし、埋入がゴールではなく、上部構造が入って、ようやく噛む事が出来ます。インプラント体と上部構造の連結の精度や歯の形は、CADCAMの時代の今、デジタル系の格差が重要となります。

 

ノーベルの現社長が、技工士で、元プロセラの責任者出身である為、より一層、インプラント体と上部構造の精度やバリエーションは進化を遂げるはずです。

 

インプラント周囲炎のリスク因子は

 

口腔衛生状態

セメントなど異物

周辺歯肉の状態

インプラントとアバットメントの連結様式

 

が挙げられます。連結様式以外が、個々の患者の状態となり、連結様式がインプラントブランドによって異なります。

悪口を書いても仕方がないので、ここでは詳しく書きませんが、ノーベルバイオケアの上部構造体は十分優秀で、信頼のおける物ということを、小濱先生のデータから知ることが出来ました。

 

あとは、術者の腕次第ですね。

 

先日、付着歯肉不足のケースで、4年目にインプラント周囲炎に罹患し、除去しました。

その再手術中に、インプラントが割れるという経験をし、個人的には、一通り経験したなという

気分です。割れた時のレスキューキットというものがあるのですが、それでもレスキューできず、どんどん、裂けていき、立ち会ってくれていたノーベルの担当者がどうしようかと他院の先生に電話をしている中、肝が据わり、「抜歯の要領で除去しかないわ」と周囲骨を削り、無事除去完了です。

結果的にやはりその方法しかないと、担当者から事後報告を受けました。

その後、別の日にインプラントの埋入は無事終えました。

しかし、そもそも、ロストした原因は、周囲にしっかりとした歯茎がないことなので、また日にちを空けて、遊離歯肉移植をすることになっています。

骨を作ったり、歯茎を剥がして、縫い付けたり・・・。

しなくてはいけないことがあり、勉強は永遠に続くのですね。

そして、私に体を預けてくださる患者さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 

 

矯正に、インプラントを使うのが標準になっている近年、world implant orthodontic conference 9thが神戸開催だったので

朝から出席してきました。

 

朝一は、ドイツのbenedict 先生の講演でした。口蓋であれば、子供でも使えるよって話で(もっといろんな話は勿論ありますが)、オススメの使い方の紹介がありました。

当院が、リンガル矯正が多いので、口蓋のインプラントアンカーはマストアイテムですが、1本ではなく複数本埋入することで、更に複雑なことが可能になっていて、早速、そのアイテムを注文しました。

口蓋は、入れるときは、ビックリされますが、脱落はないし、歯根と当たることもないので、個人的には、好きな部位です。その口蓋のインプラントアンカーをフル活用する治療を数多く学ぶことが出来ました。

より一層、理論的な矯正を心掛けたいと思います。

3月10日に、大阪市北区保健センターで1歳半検診の歯科検診と当番医をしてきました。

 

1月も当番だったので、えっまたですか・・・という気分です。

1歳半なので、上下で16本程度生えているのが一般的です。

 

「はーい、お口開けて~。あんぱんのあ」とか言っても、ガン泣きされます。

90名ほどを、3人で診ます。戦場のようです。

かわいいですが、相手からは、完全に嫌われています。

 

たまに、欠損、反対咬合が見つかります。

保護者の方に、説明して、3才検診に繋ぎます。

虫歯が唾液から伝染していることを、もっと知っていただいて、絶対、大人の唾液を

子供の口へ入れないよう配慮して欲しいですね。

 

 

 

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上が初診時、下が治療終了時です。

歯の色が非常に濃かったので、ズームホワイトスピード45分とホームホワイトニング(Zoom NiteWhite 22%)の併用をお願いしました。

ずいぶん、白くなり笑った時の印象がとても明るくなりました。

右側のかぶせ物3本だけやり直す予定でしたが、左側1本目が捻転しているため、左右のバランスが悪く、前歯4本を治すことにしました。

部分矯正も考えましたが、歯の幅が違いすぎるため、神経を残しかぶせ物にするほうが、美しいと判断しました。

もし部分矯正するのであれば、下顎前歯のほうが優先される症例です。